2016年3月30日水曜日

田起こしは遅れ気味

昨日と今日で、田んぼの田起こし(耕耘)をしました。

今年は、休作期間(要するに冬の間)の管理が割と思った通りできて、スズメノカタビラのような小さくて軟弱な雑草がびっしり生えた状態になっていました。

休作期間は何も育ててないんだから、どうなっててもいいだろ、と思うかもしれませんが、私の考えでは休作期間に田んぼがどうなっているかが、お米の出来にかなり影響すると思います。もちろん、作付期間中の管理がもっと重要なことは言うまでもないですけど……。

休作期間の理想的な管理は、稲刈りをしたらすぐに溝を切って排水を良くし、よく耕耘して土中に酸素を供給し、畑のような土に戻すことです。

田んぼに水を張っている時は、泥の土になっていますので、休作期間に畑の土に変えるわけです。水が引いたら畑の土になるかというとそういうことではなく、田んぼと畑では住んでいる微生物の生態系が違うので、そこをうまく調整してやらなくてはなりません。

別に田んぼを畑として使わなくても、畑の土に戻す作業はやった方がよいのです。というのは、田んぼ→畑→田んぼ→畑→…とローテーションしていくことで、連作障害のない、地力のある状態が維持されるからです。

と、偉そうなことを書いてきましたが、休作期間の管理はまずまず出来たものの、肝心の田起こしは少し時期が遅くなってしまいました。2週間前くらいに出来ていればよかったなあ……。田起こしと代掻きがほぼ同時という状態になってしまいました。

農業の何が難しいって、予定通り作業を進めるのが一番難しいです。

2016年3月25日金曜日

植え付けシーズン——柑橘栽培の12ヶ月

3月は柑橘類の植え付けシーズンです。

というわけで、今年も柑橘類の苗をいろいろ植えています。今日は、ブラッドオレンジとベルガモット、そしてタンカンの苗を植えました。

柑橘類の苗を植えるときは、直径30cm、深さ15cmくらいの穴を掘って、そこに支柱を深く立ててから苗を入れます。素掘り苗でもポット苗でも、根をよくほぐして、のびのびと根が生長できるように立体的に広げ、少しずつ土を被せます。

ここが大事なところで、根は一度埋めてしまうと剪定も誘引もできないので、最初にできるだけ自然な感じに伸ばしてやらないといけません。特にポット苗の場合で、根が絡まったまま植えてしまうと、ちょっと大きくなってから根がぐちゃぐちゃになり生育が悪くなります。

そして、定植の時は肥料は入れません。昔は大きな穴を掘ってたくさんの堆肥を入れたりもしたそうですが、今では元肥は入れない方がよいとなっています。追肥も、やったかやらないか分からない程度でほんの少しずつやるのがいいと思います。ただ、pHが適正からあまりにずれている場合などは、土壌改良材を投入するのはよいです。

さらに、苗木を支柱に固定し土を被せたら、高さ数cm〜10cmくらいのマウント(盛り土)状に土を盛り上げます。盛り土のための土はどこからか持ってきます。盛り土をするのは、被せた土はすぐに沈下してしまうためと、水はけをよくするためです。定植作業で一番手がかかるのが、この盛り土を持ってくる作業なんですよね。土を持ってくるって結構疲れることです。

今日植えた苗木から収穫できるのは、早くて5年後くらいになります。果物の販売の時にそういうことをいうと、「5年もかかるんですかー!」なんてビックリされることもしばしばです。普通のビジネスで考えたら、未収益期間が5年もあるのもそうはないことですし、製品ができるのが5年後というとかなり悠長な製造ですよね。

でも自分も農業のペースに慣れてしまったせいか、5年というのをそんなに長く感じなくなりました。むしろ5年だったら早い方なんじゃないかくらいに思っています。ものによっては、収穫できるまで10年以上かかる果樹もありますしね…。

それにしても、ものになるのは、うまくいって5年先のことなのに、苗木を植えるっていうのは結構楽しいんですよね。将来への希望を感じる作業です。

2016年3月22日火曜日

3月25日、レトロフト金曜市に出店します!

今度の金曜3月25日は、鹿児島市の「レトロフト金曜市」にて出張販売です!

商品は「たんかんオランジェット」、南薩コンフィチュール「金柑とたんかん」・「ジンジャー」、スコーンなどなど。(写真にはタンカンも写っていますが)今回はもうタンカンはないです。全部売り切れました!

また、「たんかんオランジェット」の対面販売は今回で最後かもしれません。というのは、今後の出張販売の予定が特に入っていないので…。材料も、もう残り僅かですしね。レトロフト以降の販売は、インターネットショップのみになると思います(今はネットショップでは販売していませんが、製造の都合がつけば販売いたします) 。

ところで、ネットショップ常連さんのOさんから、先日嬉しいメールをもらいました。ご注文のオマケとしてちょっと小さなオランジェットを差し上げたところ、「「おまけ」というにはあのオランジェットは贅沢です」として、わざわざ銀座Wという店のオランジェット(ヴァレンシアという商品名だそうです)と比べた写真が送られてきたんです。


左側が銀座Wの「ヴァレンシア」で、右側がうちの「たんかんオランジェット」です。ちなみに「ヴァレンシア」は一枚数百円だそうです。もちろん銀座での販売ということで場所代的なものが上乗せされていると思いますが、色の鮮やかさなどを比べても断然うちのオランジェットがお得ですね!(自画自賛)

でも「たんかんのオランジェット」は現在220円で販売していますが(大きさによって若干値段が変動します)、製造に1週間かかるのにこれでは利益がほとんど全く出ないので、来年は1枚300円程度に値上げしたいと思っています。悩ましいですけど…。

というわけで、今ならお安い「たんかんオランジェット」が買える数少ない機会になると思いますから、3月25日は「レトロフト金曜市」にぜひお越し下さい〜!

2016年3月18日金曜日

3月19日、ソレイユ・マルシェに出店します!

予告していた通り、明日3月19日は、「紅茶の店 シルバースプーン」で行われるソレイユ・マルシェに出店します!

紅茶の店 シルバースプーンは、鹿児島市加治屋町にある鹿児島トヨタの一角にあり、イギリス仕込みの本格的な紅茶を入れるステキな先生がやっています。

ソレイユ・マルシェは、毎月第3土曜日に開催されているシルバースプーンの定期イベント。この店は実は約1年間の期間限定営業なので、うかうかしていると出店する機会を逸するところでした。機会をいただいたシルバースプーンさんに感謝です。

ちなみに告知が遅れたのは、長女がインフルエンザに罹ってしまい、本当に出店できるか不安だったから。仮に家庭内で感染しなかったとしても、人が集まるところにインフルエンザウイルスを持ってるかもしれない状態で出て行くのも気が引けますし…。でも明日には解熱後2日経ちますので、出店大丈夫という見通しになりました。誰にもうつらなくて本当に良かった…。

しかし、看病等のため、製造の方が十分できなかったのは申し訳ないです。当日は売り切れ御免なのでご承知おき下さい! また、シルバースプーンさんにもご心配をお掛けしてしまいました。すいませんでした。

というわけで、明日の商品は、
・たんかんのオランジェット
・南薩コンフィチュール「金柑とたんかん」
・スコーン
を予定しております。どれも紅茶にぴったりの商品です。本格的な紅茶を飲みながら、南薩の田舎暮らしのお菓子やコンフィチュールをお楽しみ下さい!

ちなみに、ちょっと気になってるパティスリー・マエヤも出店するみたいです。楽しみですね!

ソレイユ・マルシェ(第4回)
日時:2015年3月19日(土) 11:00〜17:00 (雨天決行)
場所:紅茶の店 シルバースプーン(鹿児島トヨタ内。駐車場多数。電停からも近い)

2016年3月17日木曜日

土壌消毒はしたくないけど連作障害も困ります

シナシナ〜となってしまった葉っぱ、これ何だと思いますか?

私は先輩農家Kさんからハウスを貸してもらって、特産の「加世田かぼちゃ」を栽培しているのですが、今年は特に出来が悪そうです。

Kさんも、「ハウスを建てた当初はたくさん収穫できたけど、年々成績が悪くなっていってさ…」と言って、元々かぼちゃのために建設したハウスの半分が、今ではスナップえんどうを作っています。

そう、これは連作障害というやつです!

毎年同じ作物を同じ畑で作っていると、どんどん生育が悪くなってしまう現象、それが連作障害。

この場合、かぼちゃの根っこを食べてしまうネグサレセンチュウという微小生物が連作によって増えてしまい、葉が茂る頃に根っこをギッタギタにしてしまうのです(文字通り根っこが腐る)。根っこは、植物にとっての内蔵にあたります。根っこがやられてしまったら、当然収穫も期待できません。というか、早晩枯れます。

だから、作付の前に土壌消毒をしっかりするんだぞ! とベテラン農家からよく言われます。当たり前ですね。でも、土壌消毒、したくないんですよね…。土の中にいる生物を皆殺しにしてしまうので、環境に悪いのはもちろん、植物の栽培ということだけを考えてもそれでいいのかな…と思ってしまいます。

でも土壌消毒は偉大であるとも思います。年々収穫できなくなっていく畑って、農家にとったら悪夢みたいですからね。土壌消毒剤のピクリンが開発された時、農業業界から大変な歓迎を受けたそうですがその気持ちよく分かります。でもこのピクリン(クロルピクリン)って、元々は戦争で使われた毒ガス剤なんですよ。うーん、やっぱり使いたくない。(ピクリン以外の土壌消毒剤もありますけど。)

もちろん連作障害に対して何も対策をしていなかったわけではありません。今回はセンチュウを抑制する機能があるエン麦を前作に植えてみました。効果は、、あるような、ないような……。結論としては、やっぱり連作はしない方が安全、ということなんでしょうか。

でも特産品というのは、どうしても連作になりがちですよね。たくさんの圃場を持っていてローテーションできる篤農家ならともかく、零細な規模で農業をしている場合は…。それに農業では「むしろ連作こそいいんだ!」という理論もあるので、どうすべきか迷うところです。

農業も迷いの連続です。

2016年3月13日日曜日

【お客様からの声】「甘みと酸味のバランスが素晴らしい」

既にちょっと季節外れの話題になってしまったんですが、「南薩の田舎暮らし」で販売した「しらぬい」(商品名「デコポン」の名で知られています)について、お客様からとても有り難いメールをいただいたので紹介させてください!

このメールを送って下さった方は当店の常連さんです(といっても通販の常連なので、もちろん会ったこともないわけですが)。  Iさん、ありがとうございます!

またお世話になります。しらぬい、最っ高に美味しかったです!いままで果物にはこだわって柑橘類も特別に美味しいものをたくさん食べてきたという自負がありますが、過去最高に美味しいしらぬい(デコポン)でした。甘いだけの柑橘はたくさん見つかりますが、甘みと酸味のバランスが素晴らしい。酸味は重要!(後略)

いやー、本当に嬉しいお言葉です。

というのは、当店の柑橘類、普通の人にはけっこう酸っぱく感じるみたいで、イベントでの出店時などで「目が醒めるレベルの最高の出来だ!」と思うヤツを試食に出しても、「ふーん」みたいな反応なことが多いんですよね。そのせいで最近は心が折れてしまって、もう積極的に試食を出すのを辞めてしまいました。試食しない方がよく売れるくらいなものなので…(トホホ…)。

みなさん、もっと甘いのを期待しているみたいです。特にしらぬいは、酸味が抜けた甘いものばかりが流通しているために、「とにかく甘いもの」というイメージがあるみたいです。本当は、かなり酸味があって、酸味と甘味の拮抗が面白い柑橘だと思うんですけどね。

なので、こういう、柑橘の美味しさをよく分かって下さっている方からの評価が嬉しいです。というか、こういう声があるからやっていけることですね。これからも、酸味と甘味の両方がちゃんと自己主張する強い味の柑橘を作っていきたいです。

2016年3月11日金曜日

風に負けても

宮沢賢治の詩に「雨ニモマケズ、風ニモマケズ……」とありますが、少なくとも農業では雨・風には勝てないです。

先日、かぼちゃの苗を680本ほど定植したのですが、定植したなんと次の日、一日中台風のような大風が吹いて、トンネルビニール(U字型の支柱に張って保温するもの)が2本も剥がれてしまいました。

しかもそのうち1本は、マルチ(地面に張って地温を保温するもの。マルチング)まで剥がれてしまいました。マルチが剥がれると、張り直すのには5倍手間がかかるんです。ちゃんと穴の位置を合わせて苗を一つ一つ穴から出していかないといけないので。

また、別のトンネルは支柱自体がぐちゃりと曲がってしまいました。実は、ここは去年も同じように支柱が曲がった場所です。風の通り道にある圃場は本当弱いですねー。防風対策をちゃんとしとけって話かもしれませんが。

というわけで、びゅうびゅう風が吹き荒れる中、マルチとトンネルビニールの復旧作業です。かぼちゃは基本的には夏野菜ですので、今の時期、外気に晒されているのはよくありません。風でビニールがはためく中、1日半かかってようやく復旧しました。時間がかかりすぎなんですが、風がある中でこういう作業を一人でするのはすごく効率が悪いのです。

そして、こういう作業をしている時の徒労感といったらないですね。頑張っても、マイナスだったのがゼロに戻るだけで、プラスになるわけじゃないですからね……。

賢治の詩は、「雨ニモマケズ、風ニモマケズ、雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ、丈夫ナカラダヲモチ……」と続きます。農業では雨・風に負けますが、精神的に負けたらだめですよね。

収穫の時を信じて頑張りましょう!

2016年3月9日水曜日

3月はイベントラッシュ!

遅くなりましたが、3月5日・6日にドルフィンポートで行われた「半島すんくじら元気市」にお越しいただいた皆様、ありがとうございました!

でも世間的には、3月最初の週末はこのささやかなイベントよりも「鹿児島マラソン」に注目が集まっていたことでしょう。ドルフィンポートは鹿児島マラソンのスタート地点でしたので、私もイベント開催前にマラソンのスタートを野次馬していました。

知り合いも幾人か出場していたので、応援できるかなーと思っていたのですが、人人人で誰も見つけることができませんでした。それにしても、すごい迫力ですね。人が走ってるだけなのにこんだけ人数がいると…。途切れることなく続く人の波。ビックリしました。

しかし商売的には、ゴール地点の鹿児島市役所前でも出店があるし、近くの鹿児島中央公園でもイベントテントがたくさん張られているしで、「半島すんくじら元気市」という地味すぎるイベントには全く注目が集まらず、ドルフィンポートの人出はものすごく少なかったです。完全に喰われましたね。うーん、残念。

それでも、常連さんが何人も来てくれましたし(特にWさん夫妻、Y田さんありがとうございます!)、ステキな出会いもありました。個人的に一番嬉しかったのは、酒造会社の人に「たんかんのオランジェット」を褒めてもらったことです。食品業界の人に評価してもらえると嬉しいですね、プロからの評価みたいな感じで。

というわけで、製造の目標にしてきた「半島すんくじら元気市」も終わり、これからは販売の方にも力を入れていきます! まずは、インターネットショップで南薩コンフィチュール「金柑とたんかん」の販売を開始いたしました!

【南薩の田舎暮らし】南薩コンフィチュール「金柑とたんかん」(1個600円)

そして、3月は今のところ次のイベントへの出店を予定しています。

3月19日(土) ソレイユ・マルシェ@紅茶の店シルバースプーン
3月25日(金) レトロフト金曜市@レトロフト

このほか、もしかしたら”3月20日(日)タンカン祭り@大浦ふるさとくじら館”にも出店するかもしれません! またステキなご縁がありますことを楽しみにしております!

2016年3月2日水曜日

3月5・6日、「半島すんくじら元気市」で出張販売します!

たんかんのオランジェット
イベントで出張販売します!

3月5日(土)〜6日(日)に、鹿児島市ドルフィンポートで行われる「半島すんくじら元気市」への出店です。

でもこのイベント、インターネット上ではほとんど告知されていないみたいです! 鹿児島市内にはチラシとか配られているんですかね?  一応、ステージイベントとか詰め放題とか、いろいろと企画されているちゃんとしたイベントみたいですよ(私たちも初参加なのでよく知りません)。

「すんくじら」というのは、鹿児島弁で「すみっこ」のことです。「半島すんくじら元気市」は、薩摩・大隅半島のすみっこに位置する1市3町(南さつま市、肝付町、南大隅町、錦江町)が合同で特産品などを販売するイベントです。既に10年以上続いているそうで、毎年来られる熱心なファンもいらっしゃるんだとか。

しかし、今年は3月6日(日)が「鹿児島マラソン」とバッティングしていて、当日午前の会場周辺は交通規制が行われています! お客さんが少ないことが予想されますねー……。しかも天気は荒天が予想されています。不安だなぁ。

ちなみに、「南薩の田舎暮らし」は、
・無農薬・無化学肥料のタンカン(最後の販売になる予定!)
・たんかんのオランジェット
・南薩コンフィチュール「金柑とたんかん」「ジンジャー」
などを販売する予定です。オススメはやっぱり「オランジェット」ですかね! 製造に1週間もかかってしまうとても贅沢なお菓子です。

【参考】オランジェットについては↓こちらの記事も参照
2月5日のレトロフト金曜市で「たんかんのオランジェット」を販売します

せっかく鹿児島市内まで行ってあんまり売れなかったら悲しいので、みなさん是非来てくださいね!

半島すんくじら元気市
3月5日(土)午前10時~午後5時
3月6日(日)午前9時~午後4時


【3/3 アップデート】チラシを見つけました!